2026.11.05
【トップ対談】「日本モデルの持ち込み」から「双方向の学び」へ。日本本社とベトナム法人が語る、それぞれの強みと成長の可能性
インターネット広告市場の変化が加速するなか、企業に求められるのは、変化する顧客のニーズを捉え、最適なソリューションを提供し続けることです。
インタースペース(以下、ISJP)は、日本で2001年からアフィリエイトサービス「ACCESSTRADE(アクセストレード)」を展開してきました。ベトナムでは2015年に現地法人であるインタースペースベトナム(以下、ISVN)を設立し、現地市場に合わせたサービスの進化を続けています。
今回、インタースペースグループ創業者 兼 代表取締役社長の河端伸一郎と、インタースペースベトナム代表取締役社長のDo Huu Hungが対談。ベトナム市場の変化やISVNが目指す成長の方向性、それぞれの強み、そしてAIやソーシャルメディアが広がる時代に求められることについて語りました。
1.ISVNが目指す姿と、ベトナム市場での成長戦略
デジタル経済の加速と、変化する企業の課題
――まず、ベトナム市場の現状と、ISVNが目指す成長の方向性について教えてください。

Interspace Vietnam Co., Ltd. 代表取締役社長 Do Huu Hung
Hung: ベトナムではデジタル経済が急速に成長しており、ECや金融、旅行など、さまざまな分野でデジタルの重要性が高まっています。銀行や小売、航空会社など、これまでオフラインを中心に事業を展開してきた企業も、オンラインへの移行を進めています。
一方で、デジタルマーケティングの知識や具体的な解決策、それを実行する人材が不足している企業も多く、私どものようなパートナーと一緒に取り組みたいというニーズが高まっています。これはベトナムだけでなく、東南アジアのほかの国にも共通する傾向だと感じています。
成長に向けた3つの重点領域
――そうした環境のなかで、具体的にどのような取り組みに注力していくのでしょうか。
Hung: ISVNが今後成長していくために、特に力を入れたいのは以下の3つの領域です。
1.広告主向けソリューションの拡充と顧客取引金額の拡大
営業力やマーケティング力を高め、広告主の課題に合わせて、ユーザーとのあらゆる接点(検索・SNS・メディアなど)を網羅したメニューを提供し、総合的なマーケティング支援を通じて取引金額の拡大を目指します。
2.パートナー媒体ネットワークの強化
SEOやAI、インフルエンサー、運用型広告媒体など、多角的なパートナーとの連携を強化します。多様な配信ネットワークを広げることで、より高い成果を届けられる体制を整えます。
3.社内リソース配分と業務プロセスの最適化
多くの案件のなかから成果につながるものを見極め、人や時間を適切に投資する。組織・ルール・システムを整備し、手作業に頼らず成果を生み出せる仕組みをつくります。
これらの基盤をしっかりと固めることで、中長期的に事業規模を現在の数倍へと大きく成長させていくことを目指しています。
変化する市場環境と、広がる顧客ニーズ
――顧客ニーズの変化や、他社との差別化についてはどう捉えていますか。
Hung: 10年前、デジタルはチャネルの一部でしたが、今では企業の成長を支える中心的存在になっています。また、中小企業やスタートアップも、最初からAIやデジタル活用を前提に事業を始めています。また、競争環境も変わりました。大手の広告主が内製化を進めているほか、デジタル広告代理店やパフォーマンスマーケティング企業、MCNなども参入しています。
差別化が難しくなっているからこそ、市場にない新しいソリューションを生み出すことや、広告主との深い信頼関係が欠かせません。信頼をいただくことで、成果報酬型でも多様な還元形態の提供やライブコマースといった先進領域でも、他社に先駆けてご相談・ご依頼をいただけるようになりました。
さらに最近では、ベトナムで取引のあるグローバル企業から相談されることも増えていて、単一の広告手法を提供するだけでなく、自社の成長を総合的に支えてくれるパートナーが求められているのだと感じます。
2.ISJPとISVN、それぞれの強みとは
ISJP(日本)の強み:20年のノウハウと「WIN-WIN」の精神
――まず、ISJP本体の強みと大切にしている考え方について教えてください。

河端: 日本で「ACCESSTRADE」を開始したのは2000年代初頭です。日本はアフィリエイト市場が世界的に見ても早くから発展した国であり、検索エンジンの拡大とともに約20年にわたり市場が成長してきました。多様な業種の広告主と向き合うなかで蓄積してきた実績やデータ、ノウハウは、私たちの大きな強みです。
そして、私たちが一貫して大切にしているのが「WIN-WINをつくり、未来をつくる」という考え方です。時代とともに広告主が求める成果やパートナー媒体の集客方法は変わってきています。それぞれのインサイトを理解し、課題に合った解決策を提供する。広告主だけでなく、パートナー媒体やその先にいるユーザーも含め、関わるすべての人にとって価値のある状態をつくることが、長く事業を続けていく土台になると考えています。
Hung: ISJPの強みは、金融や人材といった特定業界への深い知見、SEOやトラフィックに関するノウハウ、そして新しいサービスや仕組みを開発してきた歴史だと捉えています。ベトナムで事業を始めた当初、「日本のインタースペースブランド」があったことは、新しい顧客との関係を築くうえで大きな助けになりました。
日本で培われたアイデアや、これまでの成功・失敗から得た知見を学べることは、ISVNにとって大きな価値となっています。また、ISJPから学んだ「WIN-WIN」の考え方は、社内の人材育成や組織づくりにも活きており、若いメンバーが成長できる環境づくりにつながっています。
ISVN(ベトナム)の強み:現地市場への最適化スピードと強い組織力
――続いて、ISVNの強みについて教えてください。

河端: Hung社長の強いリーダーシップと、若くパワフルなチームがベースにある点です。
ベトナムでの立ち上げ当初は日本で成功したモデルを持ち込みましたが、日本とベトナムでは市場環境が異なります。ISVNの強みは、そうした違いを素早く見極め、柔軟かつスピーディに現地の市場や顧客ニーズに合わせて事業を展開・変化させていく力にあります。ベトナムで存在感が大きいソーシャルメディアやライブコマースといった変化をいち早く取り入れ、チーム一丸となってスピーディに行動できる展開力は素晴らしいと感じています。
Hung: ISVN自体の強みとしては、これまで積み重ねてきたソリューション、トップクラスのパートナー媒体ネットワーク、そしてブランドへの信頼です。実績の発信やイベント、研修などを通じて自社の価値を伝え続けてきたことで、市場での信頼を確立してきました。
3.AIとソーシャルメディアの時代に、互いの強みをどう生かすか
「日本からの展開」から「双方向の学び」へ
――AIやソーシャルメディアが急速に普及するなか、今後の成長に向けて何が重要になると考えていますか。

Hung: これまで培ってきた強みに、新しい技術を組み合わせていくことが不可欠です。AIを使えば、小さな競合でも素早く新しい施策に取り組むことができます。だからこそ、新しい技術を積極的に学び、取り入れていくための投資を続けていきます。
河端: 情報の探し方が検索エンジンからAIやソーシャルメディアへと移行するなど、ユーザーの行動は大きく変わっています。企業に最適なソリューションを提供するためには、私たちも変化に対応していかなければなりません。
10年前は、日本で培ったモデルをベトナムに展開することが出発点でしたが、現在は、分野によってお互いの先行領域が異なります。それぞれの市場で起きている変化や顧客の課題を共有し、互いの知見から学び合うことが、これからの関係に必要だと思っています。
ベトナムの先行知見を、日本の成長と新たなソリューション開発へ
――最後に、ベトナム市場での学びや知見を、今後の日本の事業成長やサービス進化にどのように還元していきたいですか?
ベトナムのチームは日本の技術やノウハウをベースにしながらも、日本とは異なる分野で独自の成長を遂げています。特にソーシャルメディアの活用やライブコマースの運用ノウハウは日本よりも先行しており、参考になる事例が数多くあります。こうした知見は、今後の日本市場でも十分に活かせる要素だと考えています。
また、ベトナムチームとのディスカッションで得た気付きを起点に、新たなビジネスモデルやソリューション開発にも結び付けていく予定です。

