2025.06.20
人と組織の力を、企業の未来へ──「より良い会社」を育てる、好循環の人事戦略
2024年10月より当社の執行役員に就任した、HR戦略推進室の小林。長年にわたり人事の現場に「人と組織」に向き合ってきた経験を持ち、現在はHR戦略推進室の責任者として、企業の持続的成長を支える人的資本戦略を牽引しています。
中期経営計画と連動した組織開発、タレントマネジメント、そして組織と個の成長。現場と経営をつなぎながら、「人」から企業の未来を描く。そんな想いと挑戦について、話を聞きました。
執行役員 HR戦略推進室長
小林 剛士
経営と現場をつなぎ、“人と組織”の力を引き出す
──今期から執行役員に就任されました。まず、その役割について教えてください。
私の役割は、「人と組織」が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整え、経営層や各部門の現場責任者と連携しながら実現していくことです。
組織全体の力を底上げしながら、一人ひとりの潜在能力を引き出せるような仕組みや機会を整え、人事の立場から経営戦略を支えていくことが私のミッションです。
── 中期経営計画が進むなかで、「人と組織」の役割ますます大きくなっていると感じます。
はい。「人と組織」は、当社の事業成長を支えるエンジンとして、その重要性が一層高まっていると考えています。
中期経営計画では、グローバル市場を視野に入れた成長戦略が大きな柱の一つです。その実現には、社員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体のパフォーマンスを継続的に高めていくことが欠かせません。
たとえば、主幹事業である広告事業では、プロダクト強化はもちろん、社員一人ひとりの能力こそが競争力の源になると考えています。そのため、個々のパフォーマンス向上やマネジメント層による戦略的なチームづくり、また意思決定の質を高める仕組みづくりが、持続的な成長の鍵になると考えています。
独自の強みを活かし、成長を加速する
──「人と組織」が成長の要となる中で、当社ならではの強みはどこにあると感じていますか?また、今後注力していきたい取り組みについても教えてください。
当社の強みは、社外からも高く評価いただいている「誠実さ」と「丁寧さ」です。これは、社員一人ひとりが企業理念に共感し、それを日々の業務で体現しているからこそ、育まれた文化だと思います。また、目標対して粘り強く向き合う姿勢や、成果に対する強いこだわりも当社の大きな強みの一つです。
一方で、業務の方法論や進め方は、個々の経験に依存している部分もあり、育成方法などもまだバラつきがあります。だからこそ、育成課題に対して、当社ではコーチングプログラムを導入し、体験を通してのコーチングスキルの習得や社員が自身の成長を実感しながら、成果につながる方法を身につけられる環境を整えています。実際に、コーチングによって昇格や成果につながった事例も多く出てきています。
今後は、新入社員のオンボーディング改善や、高いパフォーマンスを発揮する社員の行動・思考プロセスの可視化に取り組みたいと考えています。
成果を生む「良い動き」「良い判断」を再現可能なものとして全社で共有し、組織全体が一体となって成長する土壌をつくりたい。それが、個と組織がともに前進するための大きな一歩になると思っています。
「仕事が楽しい!」と思える会社を目指して
── 今、特に力を入れているテーマは何ですか?
特に注力しているのは、「組織開発」と「能力開発」です。中期経営計画の達成はもちろんですが、その先にある「より強く、より良い会社をつくる」ことが私の根底にある想いです。
上場企業としての責任を果たすのはもちろんのこと、この会社が社会にとって真に価値を生み出し続ける存在であってほしい。そのために、事業と人材の両面で成長を実感できる環境を整備し、社員一人ひとりが成果を出し、「仕事が楽しい!」と思える状態を、育成と仕組みづくりを通じて実現していきたいと思っています。
そのために、戦略、仕組み、育成、働く環境のすべてを連動させ、「結果が出る」好循環を生み出すことを目指しています。
── タレントマネジメントの取り組みについても教えてください。
今の組織にどのような人材が必要かを、事業責任者と連携して、理想的な人材像を定義し、育成と採用を掛け合わせた戦略的な人材配置を進めています。
タレントマネジメントの基盤としては、社員の評価結果などを一元的に管理できるツール「カオナビ」を活用しています。今後は、評価だけでなくスキルや定性情報も蓄積し、必要なタイミングで最適な人材を迅速に配置できる仕組みづくりを進めていきます。
── 最近、新しく始めた施策について教えてください。
社員の能力開発を支援する新たな施策として、図書制度を活用した学習支援プログラムを試験的に導入しています。これは、社員が上長とすり合わせをおこない、自身の課題意識に合わせて書籍を選び、人事が伴走役となり書籍からの学びを業務に活かすことを目的とした取り組みです。これまで培ってきたコーチング支援のノウハウと、透明な評価制度による成果の可視化を組み合わせることで、成長を実感しやすい仕組みにしています。一定の効果が認められた際にはより多くの社員が活用できるよう、制度の拡大を視野に入れています。
現場の「思い」に寄り添う人事でありたい
──組織づくりにおいて、大切にしている価値観は何ですか?
社員と経営の双方がWIN-WINの関係であることです。その実現には、経営の視点を持ちながら、現場の思いや気持ちに真摯に寄り添う姿勢は欠かせません。人事は経営側の立場から意見を伝える役割もありますが、一方的にあるべき論を語るのではなく、現場と同じ目線に立つことを大切にしています。
私たちは、「事業の成長」という共通のゴールを持つ仲間です。だからこそ、必要なことは率直に伝え合い「同じ目的に向かう仲間である」ことを繰り返し確認する姿勢を大切にしています。
──人事の立場から見て、今後の可能性についてはどう見ていますか?
組織や人材に関する暗黙知や未体系化の部分はまだ多いですが、これは課題でありながら大きな可能性でもあると考えています。
こうした知見を形式知として整理・可視化し、組織全体で共有・活用することで、より高いパフォーマンスを発揮できる組織へと成長できると考えています。
理念を共有する仲間と、成長のエンジンを回す
── 最後に、当社の未来と、「人と組織」に期待することを聞かせてください。
当社は、理念に共感し、誰かの喜びや価値創出にやりがいを感じるメンバーが多く集まっています。この熱意と誠実さは、私たちの強みであり、これからの成長の源 です。
この強みを最大化するために、明確な戦略、実行しやすい組織体制、そして必要な能力を伸ばせる仕組みを整えることが重要です。そうすることで、潜在的なパワーはさらに大きな力を発揮し、企業としての価値もさらに高めていけると思っています。
私自身も含め、今後この「人と組織」の可能性を最大限に引き出すために、挑戦し続けたいと考えています。
新体制、はじまる。─ 執行役員たちの決意
【#1】代表取締役社長