「ファーストネーム」はどっちに書くの？英語表記する時の順番と名前・苗字を表す単語を解説！

黒田莉々 英語研究家 / 翻訳家

三度のご飯の次に英語が大好きな「英語の人」。英文法や英文解釈が大好物。洋書や洋画が大好きで、そこから学んだ「使える英語フレーズ」は数知れず。
米国東部の四年制大学（社会学/文化人類学専攻）をCum Laudeで卒業。帰国後は大手英会話学校の専任講師を経て、大学レベルの英語講師を20年近く経験。

現在、フリーランスで著述業、通訳、翻訳業を営む。集英社よりビジネス英語の指南書「悪魔の英語術」を出版。TOEIC975点、英検１級

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「ファーストネーム」や「ギブンネーム」、「ミドルネーム」など、英語にはたくさんの「名前」を表す言葉があります。
それぞれアメリカで主に使われている表現や、公式文書でよく見る表現など違いがありますが、意味をしっかり理解できているでしょうか？

今回は、「ファーストネーム」をはじめ英語の名前に関連する表現や、名前を英語表記する時の順番を解説します。

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「ファーストネーム」とは？

「ファーストネーム」とは名前のことを指す表現で、英語では「first name」と表記されます。

「first（最初）」と付いている通り、フルネームを記載する時に初め、つまり一番左に書かれる名前です。

姓名の「名」に当たる方です。
日本人の姓名の表記は、「苗字（姓）」が先にきて、「下の名前（名）」が後にきますが、アメリカ、イギリスなど英語圏では、通常「下の名前」が「苗字」よりも先にくるわけです。

英語の名前は、左から「名前→ミドルネーム→苗字」の順番で記載し、間はスペースを一つずつ開けて区切るのが一般的です。

「ラストネーム」とは？

「ラストネーム」は苗字を指す英語で、「last name」と書きます。
「last（最後）」なので、フルネームで記載する時には一番右に書かれる名前です。

「last name」は、主にアメリカで苗字を指すのに使われています。

英語で「名前」を指す他の表現

「ファーストネーム」以外にも、英語には「名前」を指す表現があります。
意外と多くの表現が使われているので、しっかり確認しておきましょう。

Given name

「名前」を指す表現の一つ目は「ギブンネーム」で、主にアメリカで使われている表現です。
英語では「given name」と表記します。

「given」つまり「与えられた」名前という意味で、生まれた時に両親や名付け親などから付けられた名前を指します。
パスポートや公式書類の名前を記入する欄では、「First Name」よりも「Given Name」という表現が使われていることが多いです。

Forename

「forename（フォーネーム）」も名前を表現する言葉の一つです。
スペースは入れずに、一単語で「forename」と綴ります。

「fore」には「前に付く」という意味があるので、「forename」は、フルネームで記載する時に前に置かれる「名前」を指します。
主にイギリスで使われている表現です。

Christian name / Baptismal name

英語圏にはキリスト教徒の多い国もたくさんあるので、「名前＝洗礼名」という人も少なくありません。
「洗礼名」は英語で、「Christian name（クリスチャンネーム）」や「baptismal name（バプティズマルネーム）」と表現します。

クリスチャンでない人の名前を指す時には、クリスチャンネームやバプティズマルネームという表現は使いません。

「Christian」という単語は固有名詞ですので、頭の「C」は必ず大文字になります。

Personal name

「パーソナルネーム」も名前を指す表現の一つです。
英語では「personal name」と綴られます。

「特定の個人の名前」という意味で、個人名を指して使われることがあります。

英語で「苗字」を指す他の表現

続いて、「ラストネーム」以外の「苗字」を表す表現も見ていきましょう。

Surname

「ラストネーム」が主にアメリカで使われるのに対し、イギリスでよく耳にするのは「サーネーム」です。
英語では「surname」と綴り、スペースは入れずに一単語で表記します。
「sur」はフランス語で「（立場や重要度が）上位の」という意味があります。

もともとサーネームは、ヨーロッパで地位の高い人に与えられていた一代限りの名前を指す言葉でした。
しかし、封建時代になると親子関係をはっきり明示させるための名前としても使われ始め、その後徐々に苗字を指す言葉として広まっていきました。

Family name

「ファミリーネーム」も苗字を表す表現の一つです。
英語では「family name」と記載し、意味はそのまま「家族の名前」「一族の名前」です。

その他の名前に関連する英語

「名前」と「苗字」以外にも、名前に関係する表現があります。

Middle name

英語圏の人の中には、名前と苗字の間に挟まれて記載される「ミドルネーム」を持っている人もいます。
英語では「middle name」と綴ります。

ミドルネームが付けられるのは、主に同姓同名を避けて個人を特定できるようにするためです。
名前と苗字の種類が少ない、また子どもと親、親戚で同じ名前を付ける習慣がある国では、特にミドルネームが使われています。
そのため、一つだけとは限らずいくつもミドルネームを持っている人もいます。

ミドルネームには、母方の姓や自分の旧姓、先祖の名前などが付けられることが多いです。

Second name

名前に関係した表現には「セカンドネーム」という言葉もあります。
ファーストネームを1番初めとした時に、2番目に来る名前のことを指して使われます。
英語で書く時の綴りは「second name」です。

ミドルネームは最初に記載するファーストネームと最後のラストネーム以外の部分すべてを表す言葉です。
一方で、セカンドネームは初めから数えて2番目に置かれる名前のみを指します。
そのため、ミドルネームがいくつあったとしても、セカンドネームと呼ばれるのはファーストネームの次に来る名前だけです。

ミドルネームを持っていない人の場合、ラストネームがセカンドネームになります。

Maiden name

女性が結婚する前の「旧姓」は、「メイデンネーム」と呼ばれています。
英語の綴りは「maiden name」で、「maiden」には「未婚の」という意味があります。

しかし、メイデンネームは女性のみの旧姓、つまり未婚だった時の名前を表す言葉であるため、最近では男女平等の観点からもあまり使われなくなっています。
代わりに広まりつつあるのは、もともとの姓を意味する「original family name（オリジナルファミリーネーム）」や以前の姓という意味の「previous name（プレヴィアスネーム）」です。

パスポートなどでは、「former（前の、かつての）」を使った「former last name」や「former surname」が使われることも多いです。

English name

中国や台湾、香港をはじめとする海外貿易が盛んな国や都市では、本名とは別に公的文書にも記載できる「English name（イングリッシュネーム）」を持っている人もいます。

イングリッシュネームは、自分の本名が英語圏の人には発音が難しい、また馴染みがないと思われる場合に付ける英語の通称です。
イングリッシュネームの方がネイティブに覚えてもらいやすいため、海外留学や海外出張の際に自分のイングリッシュネームを決めたという人もいるかもしれませんね。

通常は、自分の本名をイングリッシュネームにアレンジしたり、自分の好きな英語名や人気のある名前をイングリッシュネームとして使用したりします。

イニシャルにした場合の書き方は？

英語の名前は、それぞれの最初の文字を大文字にし、その後は小文字で記載するのが一般的です。
では、イニシャルで記載する場合はどのように書いたら良いのでしょうか？

ミドルネームのみ略す場合は、ミドルネームの頭文字を大文字にしてピリオドを直後に付けます。
例えば、「Margaret Grace Stanley」なら「Margaret G. Stanley」という表記になります。

ミドルネームに加えファーストネームも省略する場合は、両方の頭文字を大文字にしてそれぞれピリオドを付けます。
「Margaret Grace Stanley」なら「M. G. Stanley」です。

ファーストネームとミドルネームの二つのイニシャルでファーストネームの代わりに使う人もいます。
ハリー・ポッターの著者、J. K. Rowling、くまのプーさんの作者、A.A. Milne、俳優のJ.K. Simmonsやシンガーのk.d. langなどが、イニシャルを使っている例です。

まとめ

今回は、「ファーストネーム」や「ギブンネーム」など、英語の名前と苗字を指す表現を詳しく解説しました。
名前やイニシャルを英語表記する時の順番や書き方も説明したので、文書や名刺などに迷わず書けるように練習しておきましょう。

今回は、英語圏の名前の表現を解説しました。
世界中にはいろんな文化や言語があり、その国や地域の人の名前が、英語圏や日本で考える「ファーストネーム」や「ファミリーネーム」といったカテゴリーになどに当てはまらないこともあります。その国の氏名表現を尊重するようにしましょう。